始まりは奈良でした
その日、地元で開催された展示会に出展していました。
自社商品である業務用水産珍味を並べて、来場者に紹介します。
たこわさびやイカ黄金といった水産珍味。
いわゆる昔ながらの珍味で、どれも味の想像がつくものばかり。
創業者である父を追って入社し、早や数年。
会社の売り上げは低迷していました。
なにか新しい商品を開発せねば、と考えていたころです。
そこへ県内のとある酒蔵の方が声を掛けてこられました。
「酒粕はおいしくてからだに良いのに余っている。
もっと有効活用したい。
なにかいい方法はないものか」
そして立ち話の中で行きついたのが、クリームチーズの粕漬けでした。
水産物を塩などで旨味を凝縮させつつ保存性も増す「漬け込み」という技法を、クリームチーズに応用させるのです。
おもしろいものをつくりたい。
その想いがぶつかり、化学反応を起こしたのでした。
クセ者の酒粕に悪戦苦闘
早速試作にかかります。
全国から選び抜いた酒粕に、清酒、砂糖、塩を配合します。
添加物は使いません。
クリームチーズは数ヵ国のものを試した結果、酒粕に最も合うまろやかなオーストラリア産をチョイス。
これに漬け込み日数を調整して、様々なパターンを試します。
難しかったのが酒粕の独特のクセ(苦み)。
クセを抑え、旨味を引き出すにはどうすればいいのか。
試行錯誤を繰り返した結果、ひとつの黄金比に辿り着きました。
そうして出来上がったのが「酒かすクリームチーズ」です。
そうは問屋が卸さない
パッケージデザインは経費削減のため自ら作成しました。
できあがった商品を、新規の小売企業様に飛び込み営業で案内します。
運よく採用してくださる企業様があり、徐々に店頭に並び始めます。
しかしここからが正念場でした。
店頭には並んだものの、なかなか売れなかったのです。
一度食べてさえもらえれば、このおいしさがわかるはず、、どうすれば、、、
そうだ、試食販売だ!
ということで、たくさんの方にこのおいしさを伝えようと、店頭に立ち手当たり次第試食をしてもらいます。
「酒かすクリームチーズでーす!本日限定でご試食いただけまーす!」
すると、
「え?!酒かすクリームチーズ?!なにそれ??あらやだ、おいしいじゃない!」
と、徐々に売れ始めていきました。
更に、雑誌BRUTUS【日本一の手みやげはこれだ!】(2017年12月号)の発酵つまみ部門で準グランプリに選ばれことも後押しとなり、販売数量は伸びていきました。
一瞬も一生もからだがよろこぶものを、まっすぐに
第二弾として「たまり漬クリームチーズ」を販売。
するとテレビや雑誌で取り上げられ大ヒットに。
今では「酒かすクリームチーズ」を上回る人気商品に成長しました。
更に「奈良漬クリームチーズ」をリリース。
テレビ、ラジオ、新聞などが取り上げてくださり、地元天理市のふるさと納税返礼品にも選出。
(今では返礼品上位4%に入る人気商品に育てていただきました)
わたしたちがいつも大切にしている考えがあります。
それは、
「一瞬も一生もからだがよろこぶものを、まっすぐに」
これからも「おいしい」と「健康」の両立を訴求し続けます。
代表 三原慎一郎